命令口調がひどい旦那(夫)と離婚することはできる?
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山形市が公表している統計資料によると、令和元年の山形市内における離婚件数は、318件でした。中には、夫との性格の不一致で離婚に踏み切った方もいらっしゃるでしょう。
また現在、旦那から「〇〇をしろ!」、「〇〇をするのはやめろ!」などの命令口調や高圧的な態度を受け、一緒に生活をすることにストレスを感じて離婚を考えている方もいるかもしれません。では、旦那の命令口調を理由に離婚することはできるのでしょうか。
今回は、命令口調がひどい旦那(夫)と離婚する方法について、ベリーベスト法律事務所 山形オフィスの弁護士が解説します。
1、旦那(夫)が命令口調になる原因
そもそも旦那が命令口調になる原因としては、以下のことが考えられます。
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(1)プライドが高く常に自分が正しいと考えている
プライドが高く常に自分が正しいと考えていると、命令口調になるケースがあります。このような人は、「相手が間違っているのだから自分に従うのが当然」と考えていますので、相手を従わせるために、高圧的な態度をとる傾向にあります。
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(2)相手を見下している
女性のことを立場が下だと考えている男性は、女性に対して命令口調になることがあります。いわゆる「男尊女卑」の考え方を持っている人です。現代社会では、男女平等の考え方が根付いていますので、このような男尊女卑の考え方は決して受け入れられないでしょう。
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(3)仕事などのストレスがある
ストレスを抱えた人は、ささいなことでも怒りやすくなり、相手に対する配慮ができなくなる傾向にあります。そのため、旦那が仕事などでストレスを抱えている場合には、妻に対して命令口調になることがあります。
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(4)弱い自分をさらけ出したくない
性格的に弱い人であっても、自分の弱さを隠すために、わざと横柄な態度をとり、命令口調になることもあります。そのような人は、「妻になめられたくない」などの思いから、妻に対して命令口調をとるケースもあるようです。
2、離婚するための三つの方法
命令口調の旦那と離婚する方法には、以下の三つの方法が考えられます。
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(1)協議離婚
一つ目は、「協議離婚」という方法です。協議離婚とは、夫婦の話し合いによって離婚条件の取り決めを行い、離婚をする方法をいいます。離婚の合意が成立した場合、離婚届に記入して市区町村役場に提出するだけで離婚は成立します。
協議離婚のメリットとしては、離婚に至る理由を問われないため、どのような理由でも離婚ができるという点です。したがって、命令口調が離婚の原因であったとしても、互いに離婚の合意に至れば離婚は可能です。
ただし、命令口調など高圧的な相手に離婚の話し合いを進めるのは難しいケースもあります。その場合には、後述するような調停離婚の方法も検討する必要があります。 -
(2)調停離婚
二つ目は、「調停離婚」という方法です。調停離婚とは、家庭裁判所を利用する離婚手続きであり、裁判官および調停委員の関与のもと離婚の合意を目指す方法をいいます。
調停離婚のメリットとしては、第三者である裁判官や調停委員が離婚の話し合いに関与してくれるという点です。夫婦だけの話し合いではどうしても感情的になってしまったり、旦那の高圧的な態度に萎縮してしまったりするでしょう。
しかし、調停離婚では、当事者が直接顔を合わせることはなく、話し合いはすべて調停委員を介して進められます。命令口調の旦那も調停委員に対しては、高圧的な態度をとれませんので、冷静かつスムーズに話し合いを進めることができます。
なお、調停離婚も協議離婚と同様に話し合いの手続きになりますので、離婚の合意が得られればどのような理由であっても離婚することができます。 -
(3)裁判離婚
離婚する方法の三つ目は、「裁判離婚」という方法です。裁判離婚とは、家庭裁判所の裁判官に離婚の可否を判断してもらう方法をいいます。
裁判離婚のメリットとしては、夫婦間で離婚の合意が得られないときでも裁判所が認めれば離婚できるという点です。協議離婚や調停離婚で、なかなか相手が離婚に応じてくれない場合の共済措置ともいえるでしょう。
ただし、裁判離婚をするためには、後述するような「法定離婚事由」が必要になります。法定離婚事由がなければ、離婚することはできませんので注意が必要です。
3、裁判離婚には「法定離婚事由」が必要
裁判離婚では、以下のような法定離婚事由が必要になります。
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(1)不貞行為
不貞行為とは、配偶者以外の異性と性的関係を持つことをいいます。一般的に「不倫」と呼ばれるものが不貞行為にあたると考えてもよいでしょう。ただし、あくまでも「性的関係」が必要ですので、夫が妻以外の女性と食事をしたり、映画に行ったりしただけでは不貞行為にはあたりません。
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(2)悪意の遺棄
悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居・協力・扶助義務を放棄することをいいます。たとえば、以下のような行為があった場合には、悪意の遺棄が認められる可能性が高いでしょう。
- 正当な理由なく同居に応じない
- 収入があるにもかかわらず、配偶者に生活費を渡さない
- 健康で働ける身体であるにもかかわらず、働こうとしない
- 共働き夫婦であるにもかかわらず、家事や育児に協力しない
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(3)配偶者の生死が3年以上不明
配偶者が生死不明の状態になり、その状態が3年以上続いている場合には、法定離婚事由に該当します。「生死不明」が要件になりますので、所在がわからないものの生きていることは確実という場合には、法定離婚事由には該当しません。
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(4)配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない
配偶者が強度の精神病にかかり、夫婦の基本的な義務である協力・扶助義務を果たせない状態になった場合には、法定離婚事由に該当します。ただし、離婚により精神病にかかった配偶者は、生活状況が著しく悪化するおそれがあるため、裁判所は簡単には離婚を認めない傾向にあります。
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(5)その他婚姻を継続しがたい重大な事由
その他婚姻を継続しがたい重大な事由とは、婚姻関係が破綻して回復の見込みがない状態をいいます。他の法定離婚事由とは異なり、抽象的な要件になっていますので、さまざまな事情を考慮して、婚姻関係の破綻の有無が判断されます。
たとえば、以下のような事情があれば、その他婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する可能性があります。- 別居期間が長い
- DVやモラハラ
- ギャンブルなどによる浪費
- セックスレス
- 過度な宗教活動
- 犯罪行為による服役
4、旦那(夫)の命令口調は離婚事由になるか?
命令口調という事実だけでは、前述の5つの法定離婚事由のいずれにも直接は該当しませんので、それだけでは裁判離婚を進めるのは困難といえます。
もっとも、旦那の命令口調から派生して「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」も該当する事情がある場合には、離婚が認められる可能性があります。たとえば、命令に従わなかったためにDVやモラハラを受けた、継続して命令口調や暴言を吐かれたことによりうつ病を発症したなどの事情がこれにあたります。
5、離婚のことは弁護士に相談
離婚のことでお悩みの方は、まずは弁護士にご相談ください。
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(1)命令口調の旦那(夫)と離婚できるか判断してもらえる
離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の三つの方法があります。しかし、命令口調で高圧的な態度をとる夫だと話し合いによる離婚である協議離婚や調停離婚には応じてくれない可能性もあります。そのような場合には、最終的に裁判離婚の成立を目指しますが、そのためには法定離婚事由が必要になります。
法定離婚事由の有無を判断するためには、法的知識と経験が必要となります。まずは弁護士に相談して法定離婚事由の有無を判断してもらうようにしましょう。 -
(2)代理人として相手との交渉を任せることができる
高圧的な態度の夫を相手に離婚の話し合いを進めていくのは、精神的にも大きな負担となります。また、養育費や財産分与などの主張がうまくできず、離婚できたとしても不利な条件を強いられるおそれもあります。
そのようなリスクを回避するためにも、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は代理人として法に基づいた交渉・適切な主張をします。また、弁護士が交渉の窓口になれば相手との冷静な話し合いが期待できます。
6、まとめ
命令口調で高圧的な夫との離婚をお考えの方は、まずは特別な離婚理由が必要とされない協議離婚や調停離婚による離婚を目指すとよいでしょう。また、相手が離婚に応じてくれない場合には、法定離婚事由が必要になりますが、裁判所に離婚訴訟を提起することで離婚が認められる可能性があります。
どのような事情があれば裁判離婚ができるのかは、ケース・バイ・ケースですのでまずは弁護士に相談することをおすすめします。離婚・男女問題の解決実績のあるベリーベスト法律事務所 山形オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています