求償権とは? 配偶者の不倫で離婚する場合の慰謝料請求と注意点
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山形県が発表している令和4年人口動態統計によると、令和4年に山形県では1197件の離婚が成立しています。
離婚原因のひとつに挙げられるのが「不倫」です。配偶者に不倫をされると配偶者と不倫相手、あるいはどちらか一方に不倫慰謝料を請求することができますが、たとえば不倫相手だけに慰謝料を請求した場合、「求償権」を行使されることがあります。
「求償権」とはどういうものなのでしょうか? 求償権の基本や、配偶者の不倫で離婚する場合の慰謝料請求の注意点について、ベリーベスト法律事務所 山形オフィスの弁護士が解説します。
出典:「令和4年人口動態統計(確定数)の概要(山形県分)」(山形県)


1、不倫の慰謝料に関する求償権とは?
不倫の慰謝料請求における求償権とはどのようなものなのでしょうか?
まずは不倫の慰謝料に関する求償権の基本についてみていきましょう。
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(1)不倫の慰謝料における求償権とは?
不倫によって精神的苦痛を受けた配偶者(被害者)は、加害者に対して損害賠償として慰謝料を請求することが可能です。
不倫をした当事者である配偶者と不倫相手(不貞相手)は、法律上、共同不法行為の責任を負います。「共同不法行為」とは、複数人が共同の不法行為で他人に損害を与えることです。
共同不法行為をした加害者は、被害者へ損害を賠償する連帯債務を負うことから、不倫をされた配偶者は、不倫をした配偶者と不倫相手のどちらか、または両者に不倫慰謝料(不貞慰謝料)を請求することができます。
この際、一方の連帯債務者が各自の負担割合を超える部分についても被害者に支払った場合、それを超える部分について他方の連帯債務者に求償できる権利が「求償権」です。 -
(2)求償権の具体例
不倫慰謝料の請求時に求償権がどのように行使されるのか、具体例と共にみていきます。
【例】妻の請求
- 夫には慰謝料を請求しない
- 不倫相手には慰謝料150万を請求
このケースでは妻は夫に慰謝料を請求していません。不倫相手は、本来、不倫相手(夫)が負担すべき金額を超えて慰謝料を支払っているため、求償権として75万円を請求できることができます。
慰謝料の負担割合については原則半分ずつとなりますが、不倫における具体的な事情を総合的に考慮して決められるため、必ずしも折半になるとは限りません。
2、不倫相手に求償権を行使されることのデメリット|離婚する場合・しない場合
不倫相手に求償権を行使されるとどのようなデメリットがあるのでしょうか?
離婚する場合と離婚しない場合に分けてみていきましょう。
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(1)離婚する場合のデメリット
離婚する場合、「元配偶者の経済状況が悪化する」というリスクはありますが、基本的に慰謝料を請求する側にはデメリットはありません。
そもそも、離婚する場合は、不倫した元配偶者と不倫相手の両者に慰謝料請求するケースが多いため、求償権を行使されるケース自体が少ないでしょう。 -
(2)離婚しない場合のデメリット
離婚しない場合、「不倫相手に支払わせた慰謝料を回収されてしまう」というデメリットがあります。
不倫した配偶者から慰謝料をもらっても、結局は家庭内のお金からの持ち出しとなるケースが多いことから、配偶者には請求しないことも少なくありません。
しかし、不倫相手に慰謝料請求をして支払わせたとしても、先ほど説明した通り求償権を行使されれば、慰謝料が家計から半分回収されてしまうのです。
不倫をした配偶者の特有財産(婚姻前の貯金や相続・贈与で得た財産)から求償権を行使されて請求された金額を支払うことも可能ですが、どちらにせよ離婚をしない場合、求償権を行使されることは避けたいでしょう。 -
(3)不倫相手からの求償権を防ぐ方法
不倫相手からの求償権の行使を防ぐために、慰謝料請求時に不倫相手に求償権を放棄してもらうことが重要になります。
不倫慰謝料を請求する時に、慰謝料の金額や支払い方法などを決める不倫相手との話し合いで、求償権の放棄を求めるのです。不倫相手からは放棄の代わりに減額を求められる場合や、放棄を拒否される場合もあります。しかし、ここで不倫相手に求償権を放棄してもらえれば、後に求償権の行使で不倫相手から元配偶者に再び接触することを防ぐことにもつながるのです。
求償権の行使に関してご自身での交渉が難しい場合は、弁護士に依頼することもご検討ください。
お問い合わせください。
3、離婚する場合は高額な慰謝料を請求できる?
それでは次に、不倫慰謝料の金額を左右する要素と、不倫慰謝料請求に必要な証拠についてみていきましょう。
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(1)不倫慰謝料の金額を左右する要素
不倫慰謝料の金額を左右する要素のひとつが「不倫を原因として離婚をしたか否か」です。離婚する場合は、慰謝料が高額になるケースが多いでしょう。
「離婚するか否か」以外に不倫慰謝料の金額を左右する要素には、以下の要素があります。- 不倫の期間
- 不倫の回数
- 婚姻期間の長さ
- 未成年の子どもの有無
- 不倫をされた配偶者が受けた精神的苦痛の大きさ
不倫の期間が長いケースや不倫回数が多いケース、婚姻期間が長いケースでは慰謝料が高額になる可能性が高いでしょう。
また、未成年の子どもがいるケースや、不倫をされた側が不倫のせいでうつ病になったなど、大きな精神的苦痛を受けたケースでも慰謝料は高額になる可能性が高まります。 -
(2)不倫慰謝料請求時に必要な証拠
不倫慰謝料が高額になるケースに該当しても、証拠がないと相手から「不倫をしていないから払わない」と言い逃れされてしまうことがあるため注意が必要です。
そこで、請求前に以下のような証拠を集めるようにしましょう。- 性交渉中や裸体、下着姿の写真、動画
- 不貞行為を自白する会話の録音や念書
- 配偶者と不倫相手のメールやSNSでの不倫をしていることが推測できるやり取り
- 不倫相手との通話履歴
- ホテルの領収書
- ラブホテルや不倫相手へのプレゼントなどのクレジットカードの明細書
- 不貞行為について書かれた日記やメモ
- カーナビの検索履歴や走行記録
- 興信所(信用調査会社)や探偵事務所からの報告書
ご自身で集めるのは難しい場合もあるため、確実に証拠を得るためには興信所や探偵事務所に調査を依頼することも検討しましょう。
4、離婚や不倫、求償権が絡むトラブルを弁護士に相談するメリット
離婚や不倫、求償権が絡むトラブルが起きた際には、弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士に相談することで、依頼人のケースに応じた適切な慰謝料の相場や、不倫した配偶者と不倫相手の慰謝料の負担割合を算出してもらうことができます。
また、感情的になりやすい不倫相手との慰謝料交渉も弁護士に任せることができるため、精神的な負担なく、適切に交渉してもらうこともできるでしょう。
さらに、紛争が蒸し返されないように合意内容をまとめた示談書を作成してもらうこともできます。その際は、示談書を「公正証書」にしておくことも重要といえます。「公正証書」は公証人に作成してもらう公文書で、慰謝料の金額や支払い方法などの他に、「強制執行認諾文言」を盛り込むことで、不倫相手から慰謝料が支払われない場合に裁判を起こさず強制執行をして相手の預貯金等から債務を回収することができます。
また、離婚する場合、離婚条件の取り決めをすることも重要です。離婚条件は、以下の内容を取り決めます。
- 親権者をどちらにするのか
- 養育費の金額や支払期間、支払い方法
- 面会交流権の頻度や方法
- 財産分与の内容
- 慰謝料金額
- 年金分割
弁護士に相談することで、離婚条件が不利にならないようにアドバイスを受けることもできますので、離婚や不倫、求償権でお悩みの場合は、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
お問い合わせください。
5、まとめ
不倫をした当事者である配偶者と不倫相手は、共同不法行為の責任を負います。そのため、不倫相手のみに慰謝料請求をしたとしても、不倫相手から「求償権」を行使されれば、請求金額の半分を不倫相手に回収されてしまうことになるでしょう。
それを防ぐためには、不倫相手に求償権を放棄してもらうことが重要です。ただし、放棄するかしないかは不倫相手が決めるため、交渉の際は、弁護士に依頼するのが得策です。
また慰謝料は、離婚するかしないかによって金額が増減するため、適切な額を算出するためにも弁護士のサポートは有益です。
離婚や不倫、求償権でお悩みの際は、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。まずは、ベリーベスト法律事務所 山形オフィスの弁護士にご相談ください。
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