配偶者の不貞行為が原因で離婚したい|注意点と慰謝料相場
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山形市が公表している統計資料によると、2019年における山形市内での離婚件数は318件でした。婚姻者1076件に対して約3人に1人が離婚しているのですが、離婚の原因でよく挙げられるのが不貞行為です。
配偶者の不貞行為が発覚した場合、離婚を決意する方も少なくありません。配偶者による不貞行為は、法定離婚事由のひとつのため裁判で離婚をすることも可能です。また慰謝料請求の際には、いくつか注意すべきポイントがありますので、しっかりと押さえておくようにしましょう。
今回は、配偶者の不貞行為を理由に離婚する場合の注意点と慰謝料相場について、ベリーベスト法律事務所 山形オフィスの弁護士が解説します。
1、法定離婚事由となる「不貞行為」の定義とは
法定離婚事由となる不貞行為とは、民法ではどのように定義されているのでしょうか。
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(1)肉体関係がないと不貞行為とはならない
不貞行為とは、配偶者以外の異性と性的関係を持つことをいいます。「性的関係」がポイントになりますので、肉体関係がなければ不貞行為にはあたりません。
そのため、配偶者が異性とデートしていた、ふたりきりで食事をしていた、キスをしていたというだけでは不貞行為にはなりませんので注意が必要です。 -
(2)1、2回の風俗の利用は不貞行為とはならない
配偶者以外との性的関係は、いわゆる不倫相手との間だけでなく、風俗を利用して性的関係を持つことがあります。風俗での性的関係も「不貞行為」の定義には該当しますが、1~2回程度の風俗店の利用だけでは不貞行為には該当しないケースが多いです。
ただし、風俗の利用が長期間、高頻度にわたるケースや、風俗店の外で性的関係を持ったケースについては、配偶者以外の相手と性的関係を結ばないという「貞操義務」に反し、不貞行為にあたる可能性があります。 -
(3)不貞行為が事実であれば裁判離婚が可能
離婚の方法には、以下の3つの方法があります。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
このうち、協議離婚と調停離婚は、夫婦の話し合いにより離婚をする方法ですので、相手が離婚に同意してくれなければ離婚することはできません。
しかし、裁判離婚は、法定離婚事由に該当する事情があれば、相手が離婚に同意してくれなかったとしても、離婚をすることが可能です。不貞行為は、法定離婚事由のひとつとされていますので、不貞行為が事実であれば、協議離婚や調停離婚が困難なケースでも、離婚できる可能性が高いでしょう。
2、配偶者の不貞行為が原因で離婚するときに検討すべきこと
配偶者の不貞行為が原因で離婚をする場合は、以下のような準備を進めていく必要があります。
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(1)可能な限り不貞行為の証拠を集める
配偶者が不貞行為をしていた場合、法定離婚事由に該当するとともに不貞行為を理由として、慰謝料請求をすることができます。しかし、そのためには、離婚および慰謝料を請求する側で、配偶者の不貞行為があったことを証明しなければなりません。
配偶者が不貞行為があったことを否定した場合は、不倫相手との不貞行為を立証する証拠が必要になりますので、離婚を切り出す前に、可能な限り不貞の証拠を集めるようにしましょう。 -
(2)離婚の条件を考えておく
不貞行為を理由に離婚をする場合には、慰謝料請求以外にも以下のような離婚条件の取り決めが必要になります。
- 財産分与……預貯金、不動産、有価証券、退職金、生命保険などの財産調査
- 養育費……金額、始期と終期、支払方法など
- 婚姻費用……金額、支払方法など
- 親権……どちらが親権を獲得するか
- 面会交流……日時、頻度、場所、方法、受け渡し方法、連絡方法など
それぞれの離婚条件には、さまざまな事項の取り決めや調査などが必要になりますので、十分に検討せずに離婚を切り出しても、話し合いをスムーズに進めることができません。どのような条件で離婚をするかについては、事前にしっかりと考えておくようにしましょう。
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(3)事前に弁護士に相談する
配偶者の不貞行為が発覚したら、事前に弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談をすることで、不貞行為を証明するために必要な証拠の集め方や離婚条件の決め方などのアドバイスを受けることができます。相場からかけ離れた離婚条件を提示しても、話し合いがまとまる可能性は低いため、あらかじめ弁護士に相談して、適正な離婚条件を把握することが大切です。
3、不貞行為の慰謝料相場
配偶者が不貞行為をしていた場合、どのくらいの慰謝料を請求することができるのでしょうか。
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(1)不貞行為の慰謝料額を決める要素
配偶者が不貞行為をしていた場合、慰謝料請求をすることができます。その際の金額は、以下のような要素を考慮して判断することになります。
- 離婚の有無
- 婚姻期間の長さ
- 不貞行為時の婚姻関係の破綻の有無
- 不貞行為の期間、頻度
- 不貞行為の態様の悪質さ
- 未成熟子(経済的自立をしていない子ども)の存在
- 不貞行為の主導者
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(2)不貞行為の慰謝料額はケース・バイ・ケース
不貞行為があったとしても、そのことだけで慰謝料額が一律で決まるわけではありません。上記のようなさまざまな要素を総合考慮して慰謝料額を判断しますので、実際の慰謝料額は、事案によってケース・バイ・ケースとなります。
慰謝料の考慮要素の中で、もっとも大きな影響を与える事情は、「離婚の有無」です。夫婦が離婚するかどうかによって、不貞行為の慰謝料額の相場は、以下のように大きく変わってきます。- 不貞行為が原因で離婚に至った場合……200万円~500万円程度
- 不貞行為が原因で別居に至った場合……100万円~200万円程度
- 離婚や別居をせず婚姻関係を継続する場合……50万円~100万円
上記の金額は、あくまでも相場ですので、事案によっては、相場を上回るものもあれば、反対に下回るものもあります。ご自身のケースにおける正確な慰謝料額を知りたいという場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。
4、離婚を決断した方が弁護士に相談するメリット
不貞行為をした配偶者との離婚を決断した方は、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)相手との交渉を弁護士に任せられる
不貞行為をした配偶者と離婚をするには、まずは相手との話し合いにより離婚の合意を目指すことになります。しかし、不貞行為をした配偶者に離婚を切り出しても、離婚に応じてくれない、不貞行為があったことを否定されるなども少なくありません。
このように離婚に応じてくれない相手との話し合いを進めるのは非常にストレスのたまる作業になります。少しでも精神的負担を軽減するためにも弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に離婚問題を依頼すれば、本人に代わって弁護士が相手との交渉をします。また弁護士が窓口になることで、相手に対して離婚への決意を示すことができますので、本人同士の話し合いでは離婚に応じてくれなかったケースでも、協議が進む可能性が高くなります。
なお、話し合いで解決できない場合でも、離婚調停の申し立てや離婚訴訟の提起などのサポートを受けることができますので、安心して任せることができます。 -
(2)適正な慰謝料を算出できる
配偶者が不貞行為をしていた場合、不貞行為を理由とする慰謝料を請求することができます。しかし、慰謝料の金額は、さまざまな要素を総合考慮して判断しなければなりませんので、法律の知識や経験がなければ正確な金額を算定するのは困難といえます。
弁護士であれば、離婚問題に関する豊富な知識と経験がありますので、個別具体的な事案に応じて、適正な慰謝料を算出することができます。相場からかけ離れた慰謝料額を請求すると、相手の反発を招き、交渉が長期化するリスクがあります。早期に離婚問題を解決するためには、慰謝料相場を押さえたうえで交渉することが重要になりますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。 -
(3)離婚に必要な準備を整えられる
離婚を決断したとしても、すぐに相手に離婚を切り出してはいけません。十分な準備を整えていない状態で離婚を切り出してしまうと、思わぬ不利益を被るおそれがありますので、注意が必要です。離婚にあたって必要となる準備にはさまざまなものがありますが、代表的なものとしては、以下の準備が挙げられます。
- 慰謝料請求のための証拠収集
- 財産分与のための財産調査
- 別居および離婚後の住まいの確保
- 離婚後の生計の確保
- 子どもの転園、転校の手続き
初めて離婚を経験する方だと、まずは何から手を付ければよいかわからず、不安な方も少なくありません。スムーズに離婚をするためには、離婚に向けた準備が重要になりますので、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士のアドバイスに沿って、ご自身の状況に合わせた準備を進めていけば、スムーズな離婚の成立が期待できます。
5、まとめ
配偶者による不貞行為が発覚した場合、離婚を決断する方も少なくありません。しかし、焦っていきなり離婚を切り出してしまうと、不利になる可能性もありますので、事前にしっかりと準備を進めていくことが大切です。そのためには、不貞行為の証拠収集などに関するサポートが必要になりますので、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。
配偶者の不貞行為が原因で離婚を決断され方は、ベリーベスト法律事務所 山形オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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