交通事故の慰謝料が少ないのはなぜ? 原因や対処法を解説

2025年10月06日
  • 慰謝料・損害賠償
  • 交通事故
  • 慰謝料
  • 少ない
交通事故の慰謝料が少ないのはなぜ? 原因や対処法を解説

交通事故でケガを負い、後遺障害が生じたときは、慰謝料の支払いを受けることができます。通常は、示談のタイミングで保険会社から慰謝料の金額が提示されますが、提示された慰謝料が少ないと感じることがあるかもしれません。

慰謝料が少なくなる原因はいくつか考えられます。よくある原因を事前に把握しておくことで、適正な慰謝料を請求できる可能性が高くなるでしょう。

今回は、交通事故の慰謝料が少なくなる原因とその対処法について、ベリーベスト法律事務所 山形オフィスの弁護士が解説します。


交通事故問題を弁護士に相談 交通事故問題を弁護士に相談

1、交通事故の慰謝料はどのように決まる?

そもそも交通事故の慰謝料は、どのように決まるか気になる方もいるでしょう。慰謝料の計算基準について紹介します。

  1. (1)交通事故の慰謝料には3つの種類がある

    慰謝料とは、被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。交通事故の慰謝料には、以下の3つの種類があります。

    ① 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
    入通院慰謝料とは、事故により負傷して治療や通院を余儀なくされたことに対する、精神的苦痛への補償です
    入通院慰謝料は、通院日数・入院日数・治療期間などをもとに算定されるのが一般的です。

    ② 後遺障害慰謝料
    後遺障害慰謝料とは、事故によるケガが完治せず、後遺障害が生じてしまったときの精神的苦痛への補償です
    後遺障害慰謝料は、後遺障害等級申請を行って認定された後遺障害等級に基づいて算定されるのが一般的です。後遺障害等級には1から14級があり、数字が小さいほど重症であることを指します。
    つまり、認定された等級の数字が小さいほど、後遺障害慰謝料の額は大きくなるということです。

    ③ 死亡慰謝料
    死亡慰謝料とは、事故で被害者が亡くなった場合に、遺族に対して支払われる慰謝料です
    死亡慰謝料は、一家の生計の維持をしていたかどうか、といった被害者の立場や、家族構成などに応じて算定されるのが一般的です。
  2. (2)交通事故の慰謝料には3つの計算基準

    慰謝料を算定する際には、以下の3つの算定基準のいずれかを使用します。

    それぞれの算定基準には特徴があり、最終的な賠償額に大きな差が生じます。そのため、有利な算定基準を選択することが重要です

    ① 自賠責保険基準
    自賠責保険基準とは、強制加入の自賠責保険において最低限の補償を定めた基準です

    自賠責保険基準は、慰謝料の算定基準ではもっとも低額な基準になります。あくまでも最低限の補償のみを定めているため、自賠責保険基準に基づくと、慰謝料も最低限の金額しか支払われません。

    ② 任意保険基準
    任意保険基準とは、任意保険会社が独自に設定している社内基準です
    任意保険基準の詳細な算定方法は、一般には公開されていません。正確な金額は不明ですが、一般的には自賠責保険と同程度、またはやや高額とされています。ただし、後述する裁判所基準と比較すると遠く及ばない金額です。
    被害者が弁護士に依頼せずに示談交渉をすると、保険会社から任意保険基準により算定された慰謝料が提示されます

    ③ 裁判所基準(弁護士基準)
    裁判所基準とは、過去の裁判例をもとに基準化された慰謝料の算定基準です
    裁判所基準を用いると、3種類の慰謝料算定基準でもっとも慰謝料が高額になります。裁判所基準を用いた慰謝料を請求するには、弁護士に示談交渉を依頼するか、裁判で争う必要があります

2、交通事故で慰謝料が少なくなる原因とは?

交通事故の慰謝料が、思っていたより少なくて不満に思われている方もいるでしょう。慰謝料が少なくなる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. (1)通院日数が少ない

    入通院慰謝料は、通院日数や通院期間に基づいて金額を算定します
    そのため、通院日数が少なかったり、通院期間が短かったりすると、慰謝料が少なくなってしまいます。

    また、後遺障害等級を認定する際、考慮される要素のひとつに、通院実績があります。通院期間が空きすぎている、自己判断で通院を中止したといった場合は、適正な後遺障害等級が認定されません。そのため、後遺障害慰謝料の金額も少なくなることがあります。

  2. (2)自賠責基準・任意保険基準で慰謝料が算定されている

    自賠責保険基準や任意保険基準は、裁判所基準と比較すると低額な基準です。

    そのため、自賠責保険基準や任意保険基準で慰謝料が算定されている場合には、支払われる慰謝料額が少なくなってしまいます。適正な慰謝料額を獲得するには、裁判所基準で慰謝料を算定するべきです

  3. (3)後遺障害等級がない・等級が低い

    後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定の手続きで認定された後遺障害等級に応じて金額が決められます。

    後遺障害が残ったとして後遺障害等級認定の申請をしたものの、等級非該当になってしまうと、後遺障害慰謝料の支払いを受けることができません。また、後遺障害等級認定は受けられたものの、想定より低い等級であった場合は、後遺障害慰謝料も十分な額が支払われません。

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

3、交通事故慰謝料を適切に受け取るためのポイント

交通事故の慰謝料が少なかった場合、どのように対処すればよいのか、ポイントを4つ紹介します。

  1. (1)慰謝料を裁判所基準で算定する

    先述のとおり、交通事故の慰謝料算定基準は3種類ありますが、適正な慰謝料を受け取るには、裁判所基準で慰謝料を算定する必要があります。

    裁判所基準により算定した慰謝料を請求するには、弁護士への依頼が欠かせません。被害者自身で保険会社に示談交渉をしても、裁判所基準にまで慰謝料額を引き上げるのは非常に困難です。適正な慰謝料の支払いを希望するためにも、弁護士へ相談をしましょう

  2. (2)自分の過失割合が小さいことを主張する

    被害者にも過失がある事故では、過失相殺によって被害者に支払われる慰謝料も少なくなってしまいます。

    たとえば、被害者の過失割合が30%の事故であれば、慰謝料の金額も30%減額となります。
    交通事故の過失割合は、加害者側の保険会社から提示されますが、保険会社から提示される過失割合が常に正しいとは限りません。

    事故の具体的な状況に応じて、適正な過失割合を主張していくことで、過失割合を小さくできる可能性があります

    過失割合を主張する際には、保険会社との交渉が必要です。弁護士に依頼をすれば、適切な証拠を提示し、法的根拠に基づいて交渉ができます。自分ひとりでの交渉に不安がある方は、弁護士への依頼を検討してみてください。

  3. (3)自己判断で治療を中断しない

    交通事故でケガをしたら、医師の指示に従って継続的かつ定期的に病院に通院することが大切です。

    通院が面倒だからといって、自己判断で治療を中断してしまうと、入通院慰謝料の金額が少なくなってしまいます。また、後遺障害が残った際も、適正な後遺障害等級認定を受けることができなくなります。

    そのため、医師の指示があるまでは治療を勝手に中断しないようにしましょう

  4. (4)適切な後遺障害認定を受ける

    後遺障害慰謝料の金額は、先述のとおり、認定された後遺障害等級に応じて算定されます。適切な慰謝料の支払いを受けるには、適切な後遺障害認定を受ける必要があります。

    後遺障害認定の手続きでは、主に医師が作成する後遺障害診断書などの書面に基づいて審査が行われるため、後遺障害診断書を不備なく提出することが重要です。

    弁護士は、後遺障害診断書を確認し、後遺障害等級認定を受けるために適切な内容かどうかチェックすることができます。医師の診断自体が変わることはありませんが、後遺障害等級認定のために不足する内容があれば、補足するよう交渉が可能です。

4、交通事故を弁護士に相談するメリットとは?

交通事故の被害に遭ったときは、弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士に依頼する主なメリットについて、3つ紹介します。

  1. (1)弁護士基準で慰謝料を請求できる

    先述のとおり、交通事故の慰謝料の算定基準でもっとも慰謝料が高額になる基準は、裁判所基準です

    保険会社から提示される慰謝料の金額は、任意保険基準で算定されているため、納得いく慰謝料額が提示される可能性は低いでしょう。裁判所基準にまで慰謝料の金額を引き上げるには、法的観点から示談交渉できる、弁護士のサポートが欠かせません。

  2. (2)後遺障害等級認定の手続きをサポートしてもらえる

    適切な後遺障害等級認定を受けるには、ポイントを踏まえながら後遺障害等級申請の手続きを行う必要があります。

    事故後すぐに弁護士に相談すれば、適切な後遺障害認定を受けるために必要な検査や通院時の注意点などをアドバイス可能です。また、後遺障害が生じてしまっても、必要な検査や通院を行った証拠があるため、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高くなります。

    後遺障害等級申請をする際も、弁護士に一任できるため、負担を減らしながら手続きを進めていくことができます

  3. (3)保険会社との交渉をすべて任せられる

    保険会社から提示された慰謝料額や過失割合に納得できないときは、保険会社との交渉を求めていくことになります。

    しかし、知識や経験に乏しい一般の方では、保険会社の言い分が適正なものであるかどうか判断できず、不利な条件で示談してしまうおそれがあります。このようなリスクを最小限に抑えるためにも、保険会社との交渉は、弁護士に任せるのがおすすめです。

    弁護士に依頼すれば、保険会社との交渉をすべて任せられるため、精神的負担が軽減され、さらに有利な条件で示談を進めることができます

5、まとめ

保険会社から提示された交通事故の慰謝料が少ないと感じるときは、示談に応じる前に一度弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談すれば、保険会社が提示した慰謝料が適正なものであるかどうかをチェックして、増額の可能性がある場合には保険会社との示談交渉で適正な慰謝料を求めていくことができます。

保険会社から提示された慰謝料が少ないと感じた方は、すぐにベリーベスト法律事務所 山形オフィスまでご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています